福岡子どもホスピスプロジェクト

福岡子どもホスピスプロジェクト

創設者シスター フランシス・ドミニカさん来福

2013年11月28日~同12月3日まで、世界で初めての子どもホスピス 「ヘレンハウス」を設立されたシスター フランシス・ドミニカさんをお招きして、市民交流セミナー、第11回日本小児がん看護学会でご講演頂いた他、お子さんやご家族とも交流していただきました。

シスター フランシス・ドミニカ

スコットランド生まれ。看護師の資格を取得後、英国国教会の聖職につき、その後女子修道院長に12年間就任。1982年世界初の子どもホスピスを設立後、2004年若者向けのホスピスを設立。2006年OBE (大英勲章) 、2007年ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞。


福岡子どもホスピス設立事務局発足記念 市民交流セミナー「ヘレン&ダグラスハウスの歩みとその物語」 2013.11.29ヒルトン福岡シーホーク(ナビスA) 参加者170名

1982年に治療法がないと言われたヘレンちゃんを前に途方に暮れていた家族に手を差し伸べ、家族に代わって預かったことに始まった「ヘレンハウス」。2004年には青年のための「ダグラスハウス」を設立し、30年に渡って重い病気や障がいのある子どもと家族のために進化し続ける「ヘレン&ダグラスハウス」。そこには子どもと家族の数だけ物語があり、シスターはその一つひとつに、「友として」寄り添うことの大切さを教えて下さいました。シスターが蒔いて下さった種を市民の皆さんと育て、福岡にも子どもホスピスを創っていきたいとその思いを強くしたセミナーでした。

当日配布資料(シスターのメッセージ入)はこちら

関連学会1
第11回日本小児がん看護学会特別講演「The Essence of Caring in Pediatric Palliative Care」Sister Frances Dominica,  Helen & Douglas House ,UK 2013.11.30 ヒルトン福岡シーホーク(アルゴスC)参加者360名

医療の進歩の中にあって、変わることのない「小児緩和ケアの本質」をテーマにご講演頂きました。参加者は看護師の他に医師や保育士、教師に加え、一般市民の参加もあり大変好評でした。小児看護師から、女子修道院長、ヘレンハウスの創設者というシスター・フランシスの経歴の中で、実践を通して見出したケアについての思いや考えなど、語られる言葉それ自体が貴重で、子どもと家族に関わる関係者にとって大切なメッセージとなりました。

日中一時支援<小さなさんかく>訪問

11月29日の午前中に訪問して頂きました。事前に子ども達のお母様にもシスター訪問のことは伝わっていて、皆さんシスターにお会いできることを楽しみにしていました。シスターが来られた時にはすでに3人のお子さんが来ており、シスターは一人ずつの手を取って声をかけてくださいました。いつもとは違う様子を感じながらも、子ども達はじ~っとシスターの声に耳を傾けていました。「七五三」の写真撮影で遅れて来たお子さんご家族がシスターに七五三の写真をお見せすると、「すばらしい」と日本の風習に感動しておられました。シスターは、スタッフに子ども達の数や疾患、預かりを始めた経緯などを熱心に質問され、お母さんたちはシスターにイギリスの学校等について尋ね、和やかな交流となりました。人見知りをしていた子ども達も、最後には満面の笑顔になり、親も子もスタッフもシスターの愛に包みこまれたひと時でした

<在宅訪問~ちいちゃん~>

2000年生まれのちいちゃんは、現在気管切開し、人口呼吸器をつけて自宅で元気に過ごしています。そんなちいちゃんのところへ、シスターが訪問しました。なんとちいちゃんは茶摘み娘の姿でシスターをお出迎え!とっても可愛かったです。^^

その日はちょうどちいちゃんの特別支援学校の先生が来られていて、先生方が作ってくださった綱引きゲームでちいちゃんとシスターが対戦!最初は表情が固かったちいちゃんもだんだん笑顔が出てきました。シスターと見つめ合うちいちゃん、二人の間には言葉を超えた何かがありました。

後日お母様からメールを頂きました。「世界的に偉大な方ということで、かなりの緊張でした。今でも夢をみていたような気がします。ハグをしてもらい、天地がひっくり返ったような感覚。気がつくと涙が出ていて、決して苦い涙ではなく、そして心はとっても軽くスッキリしていました。シスターありがとう。娘は日ごろ表情が乏しいのですが、シスターの「Smile」の声かけに何度も笑顔で応えていたのにはビックリ驚きです。確かに、シスターとちいちゃんは繋がっていて、素晴らしい光景でした。」

<子どもを亡くしたお母様達との交流>

シスターに、昨年から今年にかけてお子様を亡くされたお母様達3人にお会いして頂きました。西中州にある貴賓館の一室にあるカフェで、窓越しに穏やかな冬の日差しを受けながら、テーブルを囲んでの暖かいひと時でした。

3人のお母様達は、お子様の写真を持参し、お子様のことや入院中のこと、お家でのことなど沢山の思い出を語られました。シスターは、お母様達の語りに耳を傾け、その哀しみも日常も、その全てを優しく包み込んで下さいました。途中ランチをはさみながら、気がつけば3時間の時があっという間に感じられました。

最後にお母様おひとり、お一人とシスターはハグをされました。お母様の一人は「シスターの優しく包んで下さるオーラに何だか涙が止まりませんでした。そしてお話をしたり、一緒に時間を過ごさせて頂いたことでリラックスし、また一歩踏み出せそうな気がしました。・・・」とメールを下さいました。後日私もシスターにハグして頂いたのですが、シスターのハグは優しくそして力強く、きっとお母様達に「一人ではない」ことを伝えて下さったのだと思いました。シスター本当にありがとうございました!

<大宰府、国立博物館、福岡タワー周辺>

福岡へ来ていただいたシスターに福岡をご紹介しました。梅が枝餅を食べ、徳川の美術品に魅了されたご様子。生まれて初めてのおみくじにもトライ!楽しい、楽しいひとときでした。